半落ち [VHS] |
とにかくラストシーンはボロボロ泣いてしまいました。法廷でのシーンは傑作でしょう。もちろんアルツハイマーの妻を殺したことは許されません。許されないことなのに胸がつまります。 前半がダラダラとしているのが残念。でもそれぞれが抱えている苦しみを浮き彫りにしているのはよかったです |
クライマーズ・ハイ [DVD] |
全編観る中で、何度も黒澤明の「生きる」を思い出した。
この作品のメインテーマの一つは、多分、「人はパンのみにて生きるにあらず」なのだろうと。 新聞記事を読者受けよくする事が使命感だった、若き日の悠木が、死に至らしめた望月。その存在が折に触れて浮上し、悠木の価値観を揺らす。 が、しかし、価値観とはなんだろう。 「正しい真実が知りたい」墜落事故遺族 「複雑な真実より、単純に良い感情の方向性に導いて欲しい」読者 「命の重さがあるのか」を問いたい大事件外の遺族 「自分が重要な仕事をやり遂げた実感が欲しい」若手新聞記者 「若手の情熱に共感しながら、上部を老獪に説得する力を持たず苦しむ」主人公 「新聞記者である情熱を取り戻したい」と思いながら、現実の処理に追われる管理職たち 「実際の流通現場に受け入れてもらわなければ、自社の存続は危ない」と感じ、情熱のコントロールを迫る販売担当者達。 それ以外にも様々な価値観が交差する「組織」というもの。 面白いと思ったのが、「正」と「誤」が非常に見分け難い状態に描写されている事だ。 いわゆる青春ドラマなどは、情熱を持った若者が単純に「正」で描かれる事が多い。 が、若者の情熱のままに進もうとした結果が「誤」となったり、管理職達が自らの権威や組織の秩序を守る為あえて「誤」となったり、それが非常に表裏一体となっている気がする。 しかし、会社組織というものも秩序だって見えながら、非常に泥臭いものだな〜と改めて思う。「絶対」が存在しない世界。 ただ、一点注意が必要なのは、この作品では、日航機墜落事故はただのモチーフに過ぎないと言う事。そこを間違えると、何だか、分からなくなってしまうかもしれません。 でも、非常に入れ込んで観れる作品だと思います。 |
出口のない海 [DVD] |
第一印象は「静かな戦争映画」です。
人間が操縦する特攻兵器人間魚雷「回天」の物語ですが、これは戦争映画というよりヒューマンドラマです。 戦闘シーンはほとんどありません。 今から63年前の日本の若者が実際に体験した人間群像なのです。 「男たちの大和」や「僕は君のため〜」よりも数段良い映画なので日本の歴史の一コマを知りたい方へは超お勧めです。 フィルムの色は抑え気味で当時の雰囲気がよく出ていますが、CG技術が弱くCGはCGと分かってしまう画面は残念。 |
出口のない海 特別保存版 (初回限定生産) [DVD] |
戦争ドラマとしては邦画No.1ではないでしょうか! この作品を観て原作も読みました。 原作と違う部分もけっこうありましたがそれはそれで楽しめました。 人間魚雷回天、このような特攻兵器があった事は前から知ってましたが若い人達のほとんどは特攻は飛行機だと思ってた人がほとんどではないでしょうか? ぜひ、この作品を観て回天の事を知ってください! ただ不満なのは唯一発進した2号艇の体当たりシーンが無かった事! 海中のシーンが暗くてよく解らないとこがある事! そこが残念なんですが作品は素晴らしい作品なんで星五つです |
ヒップ・クルーザー |
高校生の頃渡辺貞夫のラジオ番組で向井さんの「コーラルアイ」を聞きました。なかなか音源にめぐり合うことがないまま約20年。ついに私のもとにやってきた! 向井さんの伸びのあるハイトーンとスーパーテクを楽しめる良質なフュージョンアルバムです。 かつてインタビューでフュージョンに飽きちゃったんだよねって言って、こっぱ難しいことをやり始めた向井さんですが、ポップに聞けるフュージョンもたまにはやってくれないかなぁ。 |
ルパンの消息 (光文社文庫) |
青春の思い出、辛い記憶、幸せな記憶。 色んな人の、相手を想う気持ちが15年の時を越えて繋がった瞬間は涙が出そぅゃった!!! でも思い詰めるって、相手を想いすぎるって身体に良くない('・ω・`) |
臨場 (光文社文庫) |
孤高の検死官 倉石義男のものがたり。
全八編をとおして倉石本人の心情を描いたものはない。他者のくるおしいほどの情念の周辺に、淡々と存在しているだけだ。にもかかわらず、読み進めるうちに、倉石という人間がかたちづくられていく。事件の真相を、冷徹な視点で組み立てていく男が見せる優しさは、胸を熱くするものがある。私の拙い読書量では、このような主人公の描き方をする小説は初めて。 派手な事件があるわけでないけれど、この”臨場”感はたまらない。大人のミステリと思う。 TVドラマでどこまで表現できるかちょっと心配。 |
第三の時効 (集英社文庫) |
時効が過ぎたにも関らず、被害者宅で息を潜めて犯人からの電話を待つ強行犯の刑事達。
犯人は一時海外に渡航しており、真の時効は7日後。それまでに犯人は、思いを寄せていた 被害者の妻に電話をしてくるのか、それとも真の時効を知って、その日が過ぎるのを 待つのか。しかし、そこには戦慄の罠が…。(「第三の時効」) F県警捜査第1課強行犯係の刑事達が手がける難事件を通して、捜査にかける執念、 激しい功名心、ライバルへの敵愾心等を見事に描き出す、全6篇の連作短編集。 個人的には「第三の時効」、「密室の抜け穴」、「沈黙のアリバイ」がお薦め。 ことに表題作「第三の時効」には衝撃を受けた。リアルに考えればあり得ないケーでは あるが、さすが元社会部記者上がりだけあって、著者は良く司法や警察を良く 知っているし、良く調べているなあと感心した。 氏は刑事達の暗闘や苦悩を通して、警察組織(の暗部)を実にリアルに巧みに描いている。 本作では、「動機」ではやや弱いと感じたミステリーの核の部分も良く出来ており、 また、刑事達の造型も素晴らしく、これほど硬質で読ませる警察小説は、 高村薫の一連の刑事もの(「マークスの山」「地を這う虫」「照柿」など)以来と思った。 それにしても、F県警強行犯の刑事達、殊に班長(警部クラス)達は個性的で実に面白い キャラクター揃いで続編が楽しみ。とりわけ二班の楠見班(長)がどうなっていくか、 興味が尽きない。 |