Story Seller Vol2 2009年 05月号 [雑誌] |
読み切り形式の小説が詰まった雑誌?です。
(実は読み切りじゃないのもあるけど、いきなり読んで面白い) そもそも書いている作家がすごくて、 伊坂幸太郎、有川浩、本多孝好など、よくぞここまで、という陣容なのですが、 それぞれが実力を発揮していて最高です。 もちろん読み切りの単行本より短いですが、自分の好きな作家の話も楽しめて、 なかなか手に取りずらい他の作家の作品も味わえます。 ちなみに本多孝好目的で手に取った私は、近藤史恵さんを作者買いする羽目になりました。 恐るべしです。 といいつつ、個人的には1に引き続き有川浩がベストかな、と。 (本多先生も悪くない悪くない 笑) でも、1つの話もつまらないと思わない、充実したアンソロジーでした。 |
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6) |
オチが最高でした。
そうか…こう来るのか…。ちょっと打ち震えました。 タイトルも事件と関係ないじゃんと思っていたら……そんなことはありませんでした。 注意して読んでいけばわりと簡単に犯人の見当はつきます。 たぶんあの人かなと思っていた人が犯人だったのでその点はちょっと拍子抜け。 でも、それは作者が意図的にわかりやすく書いたのかもしれないなあとも思います。 事件そのものは、小鳩くんと小佐内さんのキワ者っぷりを際立たせるためのスパイスに 過ぎないような気がします。おそろしい。 二人の前では瓜野くんも放火犯も到底かないそうにありません。 小鳩くんと小佐内さんの周辺をかためる登場人物たちの傀儡っぷりが泣けました。 上下巻通して小佐内さんがいいキャラしすぎていて困りました。 台詞回しや行動がいちいち素敵すぎて、小佐内さんの登場シーンばかり何度も 読み返してしまいます。深読みすると楽しいです。ちょっと毒があって。 でも個人的な印象だと、抱えている病巣みたいなものは小佐内さんより小鳩くんのほうが 厄介な感じがしました。 で、なにを置いても二人が元さやにおさまってくれたのはうれしい限りでした。 そうだよ!普通に恋愛してる柄じゃないよ君たち!と思っていたので。 小鳩くんと小佐内さんの関係は恋愛のそれとはたぶん違うと思いますが、 (もしかしてすごい遠まわしな照れ隠しなのか?と疑ったこともありましたがそんな かわいらしいものじゃないな多分と今作を読んで思った) 今後ともよき理解者同士(?)仲良くやっていってほしいです。 健康的ではないよなあとは思いつつ、興味を引かれたことに一直線な彼らであってほしいです。 あと二人が食べていた栗きんとんが食べたいです。 |
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫) |
待ちに待った小市民シリーズの最新刊です。
「春季限定いちごタルト事件」「夏季限定トロピカルパフェ事件」から続くこのシリーズは、高校一年生の二人、小鳩常悟朗と小佐内ゆきの二人が、さまざまな事件を一般の人には目立たないようにさりげなく解き明かしていくというもので、二人の偽装ぶりとキャラクターが魅力的でした。天才的な謎解き能力をもつ小鳩、彼に勝るとも劣らない知力と復讐への暗い欲望をうちに秘めつつも外見はまるで中学生のような小佐内ゆき。どちらも実によく計算されたキャラクターで、特に小佐内ゆきの甘いスイーツへの偏愛と数々の仕込みは超絶的に破壊力がありました。 その二人の関係が激変、緊迫した状態となった前作から、はや幾年。 ファンや関係者は非常にやきもきしていたわけですが、ようやく続きが出ました。しかも、上下二巻組です。 早速前作のラストから二人の関係はどうなったのかと興味しんしんで読み始めたら、なんという驚愕の展開か、二人はきれいさっぱりと別れて、それぞれがそれぞれに新しい彼氏・彼女を作るではありませんか。小鳩は「ジョーって呼んでいい?」なんて言ってくる可愛い系の女の子に告白されるだけならまだしも小佐内さんのことをモノローグでは「嘘つき女」と表現しています。一方、小佐内さんは小佐内さんで年下からの告白に「わたし、はっきりした男の子って好きよ」なんて言って相変わらずのスイーツデートをしております。 その新しい彼氏であるところ年下の男の子の瓜生くんが追いかけている、市内連続放火事件(といっても最初はボヤくらいの話ですが徐々にエスカレートしていく)よりも二人の青春模様に気を取られていると、さすがは米澤先生。少しずつネタを仕込んでおられます。気がついてみれば、その関係すらも何かのネタではないのかというような何かが裏で動き始めます。上下巻ということで、全貌は明らかにされませんが、二人は結局その能力を使う事を余儀なくされるようです。果たして事件の真相は? 二人の恋愛は? 本当に恋愛として進んで行くのかそれとも、、、、。 幸せなことに、これで下巻がいつ発売かわからないとその凶悪な引きに怒りを覚えるところでしたが、来月には下巻が読めるようなので、とても下巻が楽しみです。予想を裏切る展開でしたが、とても面白かったです。 |